インテリアコーディネーターの仕事は「企画提案」業務が基本となっており、「企画(プランニング)」、「提案(プレゼンテーション)」に分けられる。
インテリアコーディネーターの「企画(プランニング)」には、家具を配置したり、色彩計画について考えたり、実際に図面を書いたりするなどのデスクワークの業務で、「提案(プレゼンテーション)」の業務は、消費者に対し、自分が実際にコーディネートしたプランニングの結果を説明する対人業務のことを指す。
インテリアコーディネーターにとって、インテリアの「企画」とインテリアコーディネートの「提案」は別に分けて考えることはできない。
その理由として、インテリアコーディネーターが行うインテリアのプランニングとは、その結果を顧客に説明をして納得してもらい、内容を承認してもらうためのものだからである。
これについては建築設計も基本的なスタンスでは同じであるが、建築設計に関してはインテリアコーディネーターの方がより技術的で、機能的な計画(間取りのとり方など)が中心になるので、顧客にプレゼンテーションを行うというものとは少し異なる。
建築設計に比べてインテリアのプランニングの方が、印象として割りとスタイリッシュなイメージを持っているのはそのパフォーマンスについての部分が異なっているからだろう。
自分がコーディネートしたインテリアのプランを相手に理解してもらい、認めてもらうためには、消費者に夢を与えられるようなプランやパフォーマンスがインテリアコーディネーターには必要になる。
インテリアコーディネーターの企画提案業務は、料理作りと同じようなものと言われていて、「○○な料理が食べたい」と注文を受けて料理を作る料理人と同じように、インテリアコーディネーターも注文を受けてからインテリアのコーディネートをスタートする。
では、料理もインテリアコーディネートも、顧客が満足するためには何が必要になるのだろうか。
料理人を見てみると、良い料理を作るにためには食材も良質なものを使用しなければならない。プロの料理人は良質な食材をどこから仕入れたら良いのかを知っている。調理の方法や新しい食材などの最新の情報を常に入手しているのだ。
そして、料理人にはおいしいものを作るため素材の知識とセンスが必要不可欠。有名な料理人は、料理の基礎があることは当然のことであり、それ以外にも他の店に料理を食べに行き、それは国内だけでなく海外にも出かけるなど研究を怠ることはない。
優れた調理技術や効率的に仕上げるための技術というのは、料理人が料理作って食べてもらうことをビジネスとして成り立たせるたせるために無くてはならない必須能力となる。それだけでなく、料理の味はもちろん、料理をいかにおいしく見せるかの盛り付けに関する工夫も非常に大切なものとなる。
以上のことを、インテリアコーディネーターのプランニングに当てはめて考えていこう。
◎良質な素材の仕込み → 商品の仕入れ元、商品に関する最新の情報に詳しい
◎顧客の好み → 顧客の要求を聞き、顧客の好みを理解する
◎味付けの知識 → プランニングの知識と技術を持っている
◎味のセンス → 顧客を満足させる魅力的なインテリアを作るセンス
◎優れた調理技術 → 手早く効率よく、ミスの無いプランを仕上げる能力
◎全体の調和 → ベッド等のトータルコーディネートを考える
◎盛り付けの工夫 → 魅力的なプレゼンテーションを行う
◎サービス精神 → 顧客満足を第一として仕事を行う
インテリアコーディネーターの仕事は、インテリアをコーディネートすることから、商品の色あわせをするなどの感覚的な仕事をするイメージを持つ方もいるだろう。だが、実際は、感覚ももちろん大事であるが、それだけではなくハード面においての多くの基礎知識も必要になる。
例えば、「高齢の者がベッドで安眠を取れる家具の選び方をどうしたらいいのか?」と相談を受けた場合について考えてみよう。
インテリアコーディネーターであるあなたがその対策として、「床暖房はエアコンよりも温かいのでおすすめ」と床暖房を進めた場合、その時の説明は誰でも知っているような知識であり、インテリアコーディネーターが行う説明としては不十分だろう。
インテリアコーディネーターの業務には「コンサルティングセールス」が大きなウェイトを占めている。床暖房を進める場合では、エアコンと床暖房の仕組みの違いについて、床暖房の特徴や弱点はどういうところか、敷設の際の費用はどれくらいか、ランニングコストとなる暖房費はエアコンと比べるとどのくらい違ってくるのか、などといった具体的な説明ができなければインテリアコーディネーターとして一流とは言えず、プロとしての価値がない。
今回は暖房設備についての説明だったが、暖房設備だけに限らず住宅に関わる専門的な知識は様々な種類がある。これらはインテリアコーディネーターの資格試験で出題されている内容であり、インテリアコーディネーターとしては当然知っておかなければならない知識となっているのだ。